厄除け日記 (by Kばやし)

厄除けのように、好きなことを集めて書きます。 30代。 俳号は軽囃子(けいばやし)

カテゴリ: 福井

だいぶ前のこと。

永平寺へ行きました。

曹洞宗(禅宗)の総本山として知られています。

何回か来ているのですが、永平寺は相変わらず、欲望を喚起する外部の刺激をシャットアウトしている要塞のようでした。


「生死の覚悟」(高村薫・南直哉)という本で、僧侶の南直哉さん(永平寺に19年もいた)が言うには、

《永平寺の一年目は、迷ったり考えたりをさせないようなシステムになっています。/(修行僧は)目がキラキラしてくる。/金や異性、地位といった迷いの根本となるようなことを考えなくて済む》のだとか。

(もちろん、それに甘えてはいけないそうですが)


確かに、人が苦しむのは欲があるからなんですよね。

コマーシャルの嵐の中で生きていると、苦しくなるのも当然な気がします。

永平寺は欲をコントロールする技術を学ぶ場所なのでしょうか。


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天井画を楽しめる大座敷もありました。


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お堂。


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余談ですが、

私の友人(※巨漢)は高校生のころからアイドル、アニメ、ネットに溺れ、食欲に任せてパクパクパクパク唐揚げだのポテトだのを貪っていたため、彼の両親は心配し、1週間ほど永平寺に叩き込んだのだとか。

しかし高校生だった彼は、たとえ座禅をしていても、アイドルや色欲に任せた妄想が頭から離れなかったと言っていました。


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永平寺の売店には、購買欲を喚起するグッズなど売っているはずはありません。

ゆるキャラなどもってのほか。徹底ぶり、さすがです。

唯一、私の購買欲をそそった商品が、こちらのTシャツ。

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「超我」

買いませんでしたが。


同じ宗教でも、神道の聖地である三峯山へ行ったときは、こんなにポップなTシャツが販売されていました。

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「百発的中 MITSUMINE」

姿勢の違いを実感しました。


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道元禅師(中村勘九郎 「禅ZEN」より)

なんかやっぱりマジメそうな雰囲気。


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その一ヶ月ほどあとのこと。

身延山へ行ってきました。

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身延山久遠寺は、日蓮宗の本山でもあります。


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ところで、

「映画 小三治」というドキュメンタリー映画のDVDを見返しました。

柳家小三治さんに密着したドキュメンタリーです。

その中に、盟友の入船亭扇橋と小三治が、温泉宿に行くというシーンがあります。

二人は柳家小さんの兄弟弟子でもあり、やなぎ句会の同人でもあります。

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(右:小三治、左:船橋)

小三治「おい、今度の落語会で『鰍沢』をやってくれよ」

扇橋「やらないよ」

小三治「頼むから、『鰍沢』やってくれよ」

扇橋「それより小三治、浴衣がはだけて、しどけなくていいよ」

小三治「ばか」


「鰍沢」というのは落語のネタですが、山梨県の山奥にある地名でもあります。

身延山はその鰍沢の先にある日蓮宗の聖地です。


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身延山も巨大なお寺で、裏の駐車場からはロープウェイで上がれるようになっています。

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信者の方たちがお参り(講?)に来ていました。


地下には宝物館があり、その前には、写真パネルがありました。

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妙くん

お題目の「南無妙法蓮華経」から来ているものと思われます。


売店へも行ってみました。

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みのぶくん みのぶさん


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こぞうくん


楽しいグッズがたくさんありましたよ。


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「映画 小三治」のクライマックスは、小三治さんが「鰍沢」を演じるシーンです。


ちなみに「鰍沢」はこんな噺です。

《鰍沢という山梨の在で大雪に遭い、道に迷った旅人。

偶然、一軒家の灯りを見つけ、宿を頼むことにしました。

そこには美女がおり、こころよく旅人を招きいれたのですが、その女は旅人を殺しカネを盗ろうという魂胆。

女の本心に気付いた旅人は、一軒家から抜け出し、大雪の中を這って逃げるのです。

女は銃を持って追いかけてきます。

必死で逃げる旅人の目の前には崖。

崖の真下には急流。

うしろからは銃を持って追いかけてくる女。

絶体絶命。

すると、ガラガラガラガラ!

雪が崩れて、旅人は谷底へ転落します。

「南無妙法蓮華経!」

川には材木を運ぶためのイカダが浮いていました。

旅人はその上に落下したのです。

「助かった!お祖師様のご利益。お材木(お題目)のおかげ」》


その旅人は、身延山へお参りした帰りだったのです。

お祖師様というのは、日蓮聖人のこと。

お題目は「南無妙法蓮華経」のことです。


昔の人は、殺されそうになりながら身延山へ苦労してお参りに行ったのでしょう。

いまや、たいへんな山道も車でスイスイ上っていけますし、宝物館や写経体験、売店にはグッズもあり、楽しめるようになっています。


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お祖師様(萬屋錦之介「日蓮」より)
錦ちゃんの過剰な演技に、身延山のサービス精神も得心できました。


永平寺も久遠寺へ行き、お寺の違いを感じるというのも楽しみのひとつだと気がつきました。


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おまけ

http://kebayshi.blog.jp/archives/1070315576.html

(映画「禅ZEN」に関する記事)


http://kebayshi.blog.jp/archives/1074620688.html

(映画「日蓮」に関する記事)


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紅白歌合戦の締めくくりは「蛍の光」の合唱が恒例になっています。

昨年亡くなった作曲家の平尾昌晃が、「蛍の光」の指揮を務めていましたね。

私が紅白歌合戦で注目していた歌手は・・・、五木ひろしです。

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「夜空」(作詞・山口洋子、作曲・平尾昌晃)
「夜空」で平尾昌晃を追悼する五木ひろし。

いいですねー。

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ところで、

前回も書いた福井旅行についての続き、です。

福井では2才になった子どもが喜びそうないくつかの博物館に行こうと決めていました。


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博物館めぐり(その1)


福井といえば福井県立恐竜博物館でしょう

巨大なドーム状の博物館は、世界3大恐竜博物館と称されることもあるのだとか。

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賑わっていましたよ。

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博物館めぐり(その2)


次に訪れたのは、越前松島水族館へ行きました。

まずは寒風がビュービュー吹く中で見るイルカショーを楽しみました。

壁や床一面がアクリルになっている寝転がれる水槽があります。天井がガラス張りになっているので、寝転ぶと、水中を浮遊しているようでした。

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仰向けに寝転んで写真をパチリ。


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博物館めぐり(その3)


ラスト、博物館めぐりのトリをつとめるのは、五木ひろしプチミュージアムです。

五木ひろしといえば、福井が生んだ演歌の帝王です。


千鳥苑というドライブインの一角に、五木ひろしのプチミュージアムがあるのです。


ドライブインの様子はこのとおり・・・・・、

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ガラガラです!

そのドライブインの奥に、五木ひろしプチミュージアムが併設されているのです。

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入口を進みます。

係員はいません。貴重な展示物(?)があるにもかかわらず、無人なのです。


入場無料なだけに、五木ひろしプチミュージアムは満員電車のような大混雑なのではないかと心配していましたが、意外や意外貸切状態でした。

恐竜博物館や水族館と対称的ですね。


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狭いスペースに五木ひろしの展示物がカオスのように並んでいます。

車で福井まで来た私と妻君と息子を映した鏡のように、五木ひろしのポスターが貼られていました。

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五木ひろしを宣伝広告に採用したスズキの心意気に乾杯!

解説はほとんどなく収納倉庫のような展示です。

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五木ひろしのぬいぐるみ、欲しいなあ。しかし、非売品です。

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ファンにとっては「五木天国」。
関心のない人にとっては「五木地獄」。


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五木ひろしがこのドライブインに来訪した際の記念写真。

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私にとっては「五木天国」。
私の家族にとっては「五木地獄」。

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「パノラマ島奇譚」という江戸川乱歩の小説があります。

異常な嗜好を持った男が大金を手にし、無人島を改造して自分の脳内にあったパラダイスを再現させようとした話です。


何を言いたいのかというと、つまり、

どの博物館も、偏執的な蒐集家の脳内みたいなものかもしれないなあ、なんて思ったりしました。

そう考えたら余計に博物館が面白く感じました。

博物館は、常軌を逸した収集家の脳内探検なのかもしれませんね。


おまけ

http://kebayshi.blog.jp/archives/1068423045.html

(山口洋子展示館のこと)

http://kebayshi.blog.jp/archives/1037332920.html

(加山雄三ミュージアムのこと)

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年末のこと。山下達郎のラジオ番組をぼんやり聴いていました。

すると、リスナーから「達郎さんの、今年一番面白かった本を教えて下さい」というメール。

ちょっと気になりますね。

すると山下達郎は、

即座に「このごろはもっぱらノンフィクションですね」と言い、

中でも「『映画の奈落』って本がとても面白かった」とのこと。


「映画の奈落」は、「北陸代理戦争」という東映のヤクザ映画があるのですが、その映画について書かれたノンフィクションです。

「北陸代理戦争」は、現在進行中の暴力団の抗争を描いた実録映画でした。

(監督は深作欣二、主演は松方弘樹)

現在進行中の実録映画だったため、ホンモノのヤクザを刺激してしまい、リアルの殺人の引き金となってしまったといういわくつきの傑作です。


山下達郎のオススメではありますが、きっとFMのリスナーは、「北陸代理戦争」について書かれた「映画の奈落」など、読まないと思いますよ。

(私は夢中で読みましたけど)


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ところで、

正月休みは福井へ行くことにしていました。

車で行くこともあり、心配だったのは雪です。

一体、どのくらい降るのだろうか。


夜明け前、しんしんと降る雪の中、安全運転で出かけました。


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実は、

旅行の前に「北陸代理戦争」を見返していた私。

「北陸代理戦争」は冬の福井が舞台の映画。

ガイドブック代わりに見返していたのです。


「北陸代理戦争」の中で、松方弘樹らは雪原をジープで乗り回します。


ブブブブーン!


松方弘樹は、自分の親分(西村晃)を雪原に生き埋めにしていました。


首だけ出した西村晃の周りを、


ブブブーン!


ギャー!やめろー!


これが、「北陸代理戦争」のオープニングシーン。


奇しくも、

私たちの福井旅行のオープニングも、雪道のドライブで始まったのです。


また、「北陸代理戦争」のオープニングナレーションによると、

《福井は石川・富山の商工業の中心地であって昔からヤクザ者の数が多く、抗争事件はどれをとっても広島や九州のヤクザ者でさえ顔をそむけるほど凄惨苛烈な戦いであった》といいます。

ほほう。楽しみじゃないですか。


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この福井の旅は、初詣の旅でもありました。

まず訪れたのは、若狭神宮寺。


数年前に訪れたことのある寺です。

商業的に賑わっているわけではありませんが、

お寺の佇まいと歴史、前回の参拝したときの住職と住職の奥様のお人柄が忘れられず、再訪をすることにしたのです。


神宮寺は、700年代に建てられたようです。


お寺ですが、しめ縄の下がった山門があります。

「日本の神様」という本によると、神宮寺は、国家の仏教化プロジェクトにおいて、元来地域のターミナル的な神社を寺に作り変えてゆく(仏教がアニミズム的な神道を侵食していく)中で作られた寺院だったとのこと。



お正月だというのに、静かな境内。

独特の雰囲気がありました。


いとうせいこうとみうらじゅんの「見仏記4」には、若狭神宮寺のことが書かれていました。

《「恐いよ、みうらさん。恐くて入れねえよ」/

(仏像)それぞれの前には高めの台座があり、そこに仏式、神式の供物が置かれているのも怪しかった。しかも、どの台座にも必ずホラ貝が供えてある。それぞれのパワーがぶつかるからこそ、恐ろしい気がするのだ。/

若狭の原初的な宗教文化の力を、神宮寺はいまだ秘めた謎として残している気がした。》 


まさにそのとおり。


東大寺のお水送りのときに、若狭神宮寺が水を送るそうです。

実は、とても由緒あるお寺なのです。

「見仏記4」によると、

《若狭神宮寺の水こそが、東大寺のお水取りに奉じられるもので、つまり八世紀以来綿々と続く儀式に深く関係しているのであった。かつて神宮寺にはインド僧がおり、のちに東大寺に移って二月堂を創建したという。あちこちの資料にも書かれているとおり、若狭は大陸と奈良との間を結ぶ重要な地点だったのらしい。そうでなければ、東大寺に水を送る重要な役目を果たしていたはずはない。》


前回の訪問の際、住職の奥様からお水送りのお話を伺ったことを思い出しました。

お水送りのとき、住職は三角巾を被り白装束(奥様いわく、KKKみたいなんやで!)をし、松明を持って川瀬まで水を汲みに行くのだとか。


本堂の前で手を合わせ、

「今年も私たちをお守りください」とお願いしました。


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神宮寺を出て、次に、

明通寺へ向かいました。

神宮寺からほど近い場所にあります(小浜市)。


本堂と三重の塔は国宝。

坂上田村麻呂が祈祷したといわれる古いお寺です。


こちらも

お正月だというのに私たち以外に参拝者はいませんでしたよ。


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冬の福井が舞台の映画といえば、「北陸代理戦争」だけではありません。

「夜叉」を挙げなければいけませんね。

監督は降旗康男、主演は高倉健。


静かな福井の港町に、ヤクザのビートたけしが女を追ってやってきます。

たけしは覚醒剤中毒なのです。

女にクスリを隠されたたけしは、錯乱します。


なまはげのように包丁片手に、「クスリはどこだー!どこに隠しやがったー!」


近づく男を次々と切りつけます。


福井ってワクワクするところですね。


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雪の明通寺。

静かな境内で中年の男とすれ違うと、包丁を隠し持ったヤク中ではないかと妄想する私。 


妄想を振り払って、賽銭箱に小銭を投げて手を合わせました。


本堂に入ると、

住職が重要文化財の仏像の解説をしてくれました。

ただ、住職は革靴の踵を踏んづけており、解説よりそっちの方が気になったのですが。 


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最後に、白山平泉寺へ行きました。

勝山市にある、泰澄大師がひらいたといわれるお寺です。


幻想的な雪景色の境内。

例のごとく、参拝者は私たちだけでした。


雪深い風景を眺めていると、どうしても「北陸代理戦争」の中盤とラストシーンを思い出してしまいます。


まずは、中盤のシーン。


顔だけ出して生き埋めにされるチンピラ。

拷問されています。


次に、ラストシーン


顔だけ出して生き埋めにされるチンピラ(小林稔侍)。


顔の周りを、松方弘樹のジープが猛スピードで周遊するのです。

(オープニングシーンと同じ展開)


ブウウウーン!


やめろー!


オープニングとの違いは、本当に轢いちゃうんですよ。

タイヤが頭を踏んづけると、赤の色水の入った水風船がパチン!と割れるように頭が破裂するのです。


脳裏に浮かぶ「北陸代理戦争」のラストシーンを払拭しながら、

白山平泉寺で合掌する私。

「昨年は有り難うございました。今年も無事に過ごせますようお守りください」


そういえば、

今回訪れた福井のお寺は、どこも神社と混じり合っていた気がしますね。


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さて、

話は、神宮寺に戻ります。

神宮寺では、500円で鈴の値付けをいただくことができます。



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これは数年前の神宮寺に訪問したときの話です。

住職は、人間を鈴に例えて節談説教を彷彿とさせる説教をしてくれました。

聞き惚れた私は、そのときの説教をメモに残していました。

住職いわく、

《腹の立つことは誰にもある、腹の立つのは鈴の玉じゃーない、鈴の側がぁー腹が立つんだ。傷がつくのは鈴の側。鈴の玉は傷がつかない。鈴の側は、自己拡大でしかぁーありません。鈴の玉を見つめ直して下さい。側は欲望。玉がぁー大事なんじゃ。まあ、「そんなことはできん」ゆう人もおるでしょう。玉だけでは音は出ん。そう、側がなければ音はぁー出ん。・・・ところでな、鈴の根付を500円でおわけしておりますよ。どうぞよろしければ帰りにお求め下さい、はははは!》


住職の奥様はとても明るいアメリカ出身の方で、山登りが趣味だと言っていました。

「長野の山にもよく行くんやで」

帰り際にその明るい奥様と写真を撮り、そして「あんたらとはこれで最後のような気がせんなあ。また来てな!」と言ってくれたのです。


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奥様の「最後のような気がせんなあ」の言葉を頼りに、数年ぶりに今回お伺いしたのですよ。

帰り際、寺務所で声をかけると、住職が出てきました。

「奥様は?」

すると、思わぬ返答。

亡くなった、とのこと。


こういうとき、なんて言えばいいのでしょうね。


それでも、

ここに再び来ることのできた奥様の導きに手を合わせたいと思いました。


帰宅し、

自宅玄関のドアノブに神宮寺の鈴をかけました。

鈴が鳴ると、福井の出会いが思い出されます。


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