カテゴリ: ニッポン放送
ギャップとテレフォン人生相談
いまさらですが、
「舟を編む」(松竹)というとても良い映画(DVD)を見ました。
主演の松田龍平が、拾った猫に「寅次郎」と名付けるあたりが松竹ファンにはたまらないシーンですね。
出版社の、辞書の編纂をする部署の話。
辞書編纂という地味な仕事をする松田龍平や小林薫、加藤剛など一見物静かにみえる登場人物たちの、熱い気持ち。
この「静かな人たち」の「熱さ」がいいんですねー。
ギャップがある人に、魅力を感じるんですよね。
ギャップこそ魅力だとつくづく思いました。
例えば、
豪快に見えて繊細だったり、チャラチャラしているのに古風だったり、クールに見えて情熱的だったり。
================
================
話は変わりますが・・・・・・、
人生相談が好きで、新聞や雑誌に人生相談が載っていると、思わず読んでしまいます。
回答も様々で、突き放してみたり、同情してみたり、実用的なアドバイスをしてみたり、回答者それぞれに芸風がありますね。
いろんな人生相談を見聞きしていますが、やっぱり回答の名人は「ラジオ テレフォン人生相談」のパーソナリティ、加藤諦三先生だと思います。
「テレフォン人生相談」は、平日の11時からニッポン放送で放送されています。
(ラジオ欄)
例えば、
母子家庭で息子を育てた母親からの悩み相談。
「まじめな息子が受験に失敗。そのことが原因なのか、息子は風呂場で妹を盗撮未遂。それが露見して以来、家に引き籠もってしまいました。私(母)は熱心に教育してきただけにショックで堪らない」という悩み。
加藤先生はこの相談に対して、電話で対話をしながら原因を深く突き止めていきます。
1、母親から言われるがままの「良い子」の息子→
2、「熱心な教育」は息子のためでなく母親自身のためのものだったのではないか→
3、母親自身の若いころの挫折→
4、母親は自らの育った環境にトラウマを抱えていた
というように盗撮騒動の起きた原因を突き止めていきます。
そして、
母親が「なんてことだ・・・」と涙を浮かべ頭を抱えたところに、加藤先生の具体的なアドバイス。
盗撮という行為は、「意識で治せるようなものではなく、無意識が要請しているもので」快復は容易ではないとした上で、
「引き籠もっている息子さんの気持ちを聞いてあげて下さい。また、あなたのトラウマを息子さんに話して下さい。対立するかもしれませんが、対立を怖れずに会話をして下さい。息子さん自身が、自分のやりたいことに気がつく、ということが大切です 」
で、締めのお言葉。
「対立から意思が生まれます」
名人芸です。
新聞や雑誌の人生相談ではできない、相談者と回答者の会話の中で、「答え」にたどり着こうとすること。
「表層的な悩み」から、そのカラクリと本質を会話をとおして解き明かしてゆくあたりは、サスペンスのような面白さがありますね。
まさに、「人は大きな悩みを隠すために小さな悩みを作り出します」(by加藤諦三)。
そうなんだよなあ。
================
それはそうと、
私は加藤先生の名人芸について書きたかったわけではないのです!
「テレフォン人生相談」には、加藤諦三先生とは別にもう一人、レギュラーの日替わりアドバイザーがいます。
番組冒頭で加藤先生が、「先生をご紹介します」と、アドバイザーを相談者に紹介するのです。
で、この日、紹介されたのは、
「マドモアゼル・愛」先生。
それにしても「マドモアゼル・愛」ってすごい名前ですね。
ラジオからマドモアゼル・愛先生の声を聞く限り、落ち着いた若い紳士という印象を受けました。
エキセントリックな名前のわりには、理性的で冷静な回答をする先生です。
================
加藤諦三先生は、早稲田大学名誉教授という安心感のある肩書きがありますが、マドモアゼル・愛先生は謎めいた存在でした。
そこで、気になった私は、
パソコンで「マドモアゼル・愛」と検索してみたのです。
すると・・・、
ドーン!!
肩書きは、「占い師」。
嘘だろ??
================
ギャップこそ魅力と、先ほど申しましたが、
「マドモアゼル・愛」先生に対し、
子供のころ受けた「小野妹子」は男だと知ったとき以来の衝撃!
あまりの驚きに、
胃の中のものが逆流して、口から噴射するところでした。
魅力を感じるギャップには、許容できる限度というものがあるということも感じました。