数日間、青森へ出張することになりました。
長距離運転をしなければならないハードな出張です。
出発の前に、景気づけで、DVD「トラック野郎 一番星北へ帰る」を見返しました。
長距離トラックドライバーの菅原文太が主演の、東映のプログラムピクチャー。
恋あり、決闘あり、警察から逃れるためのカーチェイスありというコメディ映画(ロードムービー?)です。
菅原文太のように、青森に向かって激走。
「トラック野郎 一番星北へ帰る」は、オープニングからして奮っています。
のっけから菅原文太は売春婦(婦警のコスプレ)と「プレイ」を始めます。
文太「おい、女ポリ公!俺のマシンの性能はどうだ!?ズドーン!」
まともな脚本家だったら、こんな最低の名台詞は書けないでしょう。
「うりゃー!」
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あっという間に下北半島に到着。
たまたま国道沿いに駐車をして休憩をしていると、お墓を発見。
東北地方を巻き込む内戦で、この下北半島にも戦火が広がったのだそうです。
新政府軍(長州、薩摩など)と、幕府軍(奥羽越列藩同盟など)が争った戦争です。
東北地方の各藩の立場は、ほとんど幕府側。
ただ、藩によってバラつきがあったそうです。
例えば、弘前藩は早々に新政府軍に寝返りました。
この墓は、新政府軍に寝返った弘前藩の死者を弔ったもののようです。
(戦争は、勝った方が官軍、負けた方は賊軍になります)
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ところで、
「仁義なき幕末維新 われら賊軍の子孫」(菅原文太・半藤一利)を読みました。
半藤先生にも私見を述べ、鋭い質問をします。
ちなみに菅原文太は、宮城県(仙台藩)出身。
半藤一利は、新潟県(長岡藩)出身。
ともに、戊辰戦争のとき幕府側の藩でした。
基本的には幕府側の東北地方も、劣勢に追い込まれていくに従い、歯が欠けるように各藩は新政府軍に寝返っていきます。
例えば仙台藩では、侍たちは早々に寝返ったらしいのですが、「からす組」と呼ばれるアウトロー(博徒や百姓など)は、最後まで抵抗したといいます。
明治維新ののち、恭順派は得をし、会津藩のように最後まで新政府軍に抵抗した藩は冷や飯を食わされることになります。
会津藩は朝敵ということになり廃藩に追い込まれ、人々は青森県の下北半島(いまの「むつ市」)に移り住むことになりました。
当時の下北半島は不毛な土地で、移住した人々は苦労をしたそうです。
そんなわけで、仙台藩(恭順派)出身の菅原文太は忸怩たる思いがあるようです。
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ところで、
「トラック野郎シリーズ」の、菅原文太のデコトラには「雪の下北」という文字が入っています。
「トラック野郎 一番星北へ帰る」の中で、その理由が語られます。
菅原文太と大谷直子(ヒロイン)が、福島のダム湖を眺めながら語らうシーンがあります。
菅原文太「僕はここで生まれたんです。この水の下に、僕のふるさとが沈んでいるんです」
ダム湖の下に沈んだふるさと(福島)をあとにし、「下北半島に流れついた」という菅原文太(一番星)。
下北半島で貧しい生活をして育ったのだとか。
このシーンを見て、私は気付いたのです。
幕府軍だった会津藩の末路と、「トラック野郎」の菅原文太(一番星桃次郎)の経歴が重なっていたのです。
つまり、会津藩が下北半島に流されたように、菅原文太(一番星)も会津の故郷を失い下北半島に流れ着いたのです。
そんなこともあり菅原文太は、仙台藩出身者として、また「トラック野郎」の主演男優として、幕府側に同情していたのかもしれません。
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さらにいえば、
菅原文太は、新政府軍のクーデターの首謀者である岩倉具視のことが嫌いなようです。
「仁義なき戦い」の山守組長(金子信雄)という姑息な男を嫌悪するように、「俺はこういうタイプのワル(岩倉具視)が一番きらいだね。維新政府の正当性すら疑いたくなる」ですって。
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下北半島の「野辺地戦争 戦死者の墓所」で、あらためて菅原文太の魅力に気がついた私。
大きな声とアクションでエネルギーを爆発させる姿と、筋を曲げない敗者への優しさが、まさにアウトローである菅原文太の魅力ですね。
さらに歴史マニアという「おたく」な一面も、ステキです。
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(おまけ)
長距離運転の疲れをとるため、「不老ふ死温泉」で一休み。
海の中に、露天風呂があるんですよ。
泉質が素晴らしくエネルギーが満ちあふれます。
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(おまけ2)
「トラック野郎 一番星北へ帰る」のエネルギッシュなアクションシーンを紹介します。
魚が満載のトラックの上で殴り合う菅原文太と黒沢年雄。
魚を運ぶクレーンの上でも殴り合いは続きます。
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(おまけ3)
数年前、むつ市に行ったときの記録
コメント
コメント一覧 (2)
おまけ3に出てくる、「サヨナラ」ダケガ人生ダ
はなんとも言えない味わいですね
ご無沙汰しています。
近況はブログやYまもとさんから見聞きしていました。また句会しましょう。
井伏鱒二の詩集は、飽きずに読んでいます。