長野市の老舗和菓子屋・朝日堂にて句会をすることになりました。
参加者はいつもの6名(メール参加や選句だけ参加を含めて)。

今回の句会は趣向を少し変えてみました。
一人につき、漢字1文字を題として出してもらいます。
6人なので漢字6文字。
句会までに宿題として、あらかじめ6つの漢字を含んだ俳句を作ります。
句会はそれぞれが匿名で6句を投句するところからスタートです。

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話は変わりますが、少し前のこと。
「実録外伝 大阪電撃作戦」(東映)を見ていました。
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エンディングは、親分の前に子分たちが横一列に並び、詫びを入れるというシーン。
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いっせいに詰めた小指を親分に差し出します・・・。
このシーンで、映画はオシマイ!

この衝撃的なカットが脳裏から離れず、私は句会のお題を《指》にしました。

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ちなみに、
Mやさかくんから出された題は《水》。
「たまたま、水曜日だったから」とのこと。

Hまくんから出された題は《光》。
「今年の歌会始の題が《光》だったから」。

Yまもとさんは《道》。
「いろんな《道》があるから面白いでしょ?」。
ちなみにYまもとさんの趣味は散歩です。

Kぼさんは《転》。
Aしざわさんは《空》。
そして私は《指》。

これで題が揃いました。
《水》《光》《道》《転》《空》《指》。

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さて、句作です。
私が投句した俳句を紹介します。

《水》
「花粉症わが世はすべて水彩画」

《光》
「満室の文字光る路地春の闇」

《道》
「蝶高くえっさほいさ中山道」

《転》
「転々と北へテキ屋と春祭り」

《空》
「托鉢の空っぽのざる花吹雪」

ここまではスイスイ俳句ができました。
残るは私の出した《指》なのですが、これがなかなかできず、タイムリミット直前に苦し紛れに一句ひねり出すことに。
《指》
「よもぎ餅小指ない手が丸めゆく」

これは完璧に句会の直前に観た「実録外伝 大阪電撃作戦」の悪影響。
小指を失った男の第二の人生を想像して詠んでしまったのです。

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さて、句会です。
メールで参加したメンバーを含めて6人。
Kばやし(私)、Yまもとさん(朝日堂のご主人)、Kぼさん(電気屋のご主人)、それと大学の仲間であるHまくん、Mやさかくん、Aしざわさん。
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朝日堂の和菓子工場で、ワイン、焼酎、ウイスキーを飲みながらの句会。

匿名で俳句を提出し、互選でそれぞれが天・地・人・並・並・並の6句選句し、講評します。
結果は写真のとおり。
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私の提出した句は、それぞれそれなりに点数をもらいました。
嬉しいものですね。
ただ、当然といえば当然なのですが《よもぎ餅小指ない手が丸めゆく》には点数が入りませんでした。
やっぱりなー。

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宴もたけなわ。
遠慮なく、Kぼさん提供のお酒をガブガブ。おつまみをパクパク。
そして、Yまもとさんの搗いたお餅をいただきます。
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お餅にわかさぎの佃煮を乗せて食べました。
焼きたてのお餅に、甘じょっぱいわかさぎがよく合います。
「いちご大福があるくらいだから、わかさぎ大福を販売するべきですよ」

冗談を言いながら、そのとき私は、「やっぱり魚だよな」と思ったのです。
小指を失った男の第二の人生は、和菓子(よもぎ餅)より「やっぱり魚だよな」。

《指》
「とらふぐを小指ない手がさばきゆく」

これならどうだっただろうか。
(ま、そもそも詰めた小指という発想から離れた方がいいのかもしれませんが)

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(おまけ)
私が選句したほかの皆さまの俳句について。

・天
「春の宵転んで天を幾星霜」(Yまもと)
転ぶという一瞬のデキコトから夜空(宇宙)の無限の時間を感じるという、「一瞬と無限の対比が面白いと思いました」と私が言うと、
Kぼさんが「(Yまもとさんが)酔って転んで骨折したっていうただの実話だよ。店の敷地内で転んで骨折したもんだから、そのあと図々しく労災を請求して、当然却下されたっていう後日談を知っているからとても選ぶような気持ちになれない!」
ごもっとも。

・地
「また婆サは道で狐火踏む話」(Hま)
遠野物語のような雰囲気。その昔、年寄りの女性はよく憑かれたという話を思い出しました。
この句を「天」にしたMやさかくんは「老老介護の風景が目に浮かびました」。
感じ方は違うものです。

・人
「裏窓を放てば空があって春」(Mやさか)
この日、一番評価が集中した句。

・並
「結婚は雪崩のようで春の水」(Mやさか)
結婚を経験した人は軒並み点数を入れていました。
雪崩に巻き込まれたら、どうしようもないものです。

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句会は無事、終了。
YまもとさんとKぼさんの口論をつまみに酒をいただき、泥酔して帰宅しました。