週間長野というローカル紙を読んでいると、
《堀直虎没後150年祭》の記事。
記事によると、《26歳で(須坂藩の)藩主に就き、(中略)幕府若年寄に命じられましたが、江戸城内で自刃しました。徳川慶喜に挙兵を進言したが聞き入れられなかったためなど、自刃の理由には諸説あります。》とのこと。
忠臣蔵の浅野内匠頭を彷彿とさせるエピソードを持つ殿様なんですね。
別の日には、堀家の資料を募集という記事。
いま、長野では堀直虎が熱いようです。
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長野県の須坂市を歩いていると、
「堀直虎 没後150年」の幟旗があちこちに立っています。
実は、堀直虎について全く知らなかった私は、
NHKの大河ドラマで放送されている「おんな城主 直虎」と同一人物なのかと訝りました。
当然といえば当然ですが、
堀直虎と「おんな城主」は全くの別人。
(歴史に疎い上にテレビを見る習慣のない私に免じて、基本的な混同でしたが、ご容赦下さい)
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話は変わります。
私の好きな映画のひとつに「社長漫遊記」(東宝)があります。
森繁久彌主演の「社長シリーズ」の中の一本です。
(左から、森繁久彌、小林桂樹、三木のり平、加東大介)
10年以上前(大学生のころ)、友人にこの「社長漫遊記」を勧めたことがありました。
数日後、
「社長漫遊記」を見た友人いわく「時間を返せ!」。
人それぞれ好みが違うものですね。
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「社長漫遊記」のストーリーは、失笑級のヒドさなのですよ。
大きな会社の社長に扮する森繁久彌は、仕事のためアメリカに視察へ行きます。
森繁は、視察中、持病である痔を悪化させ、アメリカで手術を受けることになりました。
帰国した森繁社長。
いわく「痔の手術で輸血してからね、私の血にはですね、アメリカ人の血が混じっとるんだねえ」。
なわけで、森繁は、
「仕事もアメリカ式にまいりますよ!」と宣言するのです。
(痔の手術をしたことが原因でアメリカ式の経営になる・・・、こんなひどい因果関係がありますか!)
会社はうわべだけのアメリカ式を取り入れることになりました。
例えば、レディファースト。
例えば、お歳暮や接待の廃止。
森繁「ひとつ、ビジネスライクオンリーにいきますよ!」
森繁のアメリカかぶれはエスカレートし、家庭にも持ち込み出す始末。
孫が生まれ「おじいちゃま」と呼ばれた森繁は、
「おー!!テリブルとんでもない」と嘆き、「これからはグランパにしてもらえんかね。グランが、パーとゆくわけだよ!」とワケの分からない要求をするのです。
また、
バーに行っても森繁は、
「バーボンはアメリカの生一本(きいっぽん)ですよ!」と言ってみたり、
バーのマダムである淡路恵子に誘惑されても、
「これからはアメリカ式に、ワイフ一本槍でいこうと思うんだがね」とめずらしく断ってみたりともう最高なんです。
友人には、この映画を見ることを「時間の無駄」だと非難されました。
無論、悔しいという気持ちは山々です。
でも、ファンの私ですらなかなか弁護できない、というのが正直なところでもありました。
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だいぶ前のこと、
やはり長野のローカル紙を読んでいると、堀直虎が舞台化され、上演されるという記事(広告)が掲載されていました。
《堀直虎没後150年祭 記念公演》とのこと。
で、
この広告を読んで驚いたことがあります。
堀直虎を主人公にした演劇の、公演名が、
なんと「Straight Tiger 直虎」!
私は目を疑いました。
「Straight Tiger 直虎」というセンス。
「直虎」だけに「ストレート・タイガー」というわけです。
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話は戻りますが、
「社長漫遊記」のエンディングについて書きたいと思います。
森繁は、出張先で芸者と浮気をしようと企みます。
で、
森繁は、秘書の小林桂樹に向かって、「『カー(車)』を呼びたまえ」と命じるのです。
(アメリカかぶれなので、当然「車」は「カー」というわけです)
いよいよ浮気ができると、うきうきしている森繁。
しかし、小林桂樹は、
「カー」を「かかあ」と聞き違えたために、森繁の妻を呼んでしまうのです。
妻を呼ばれた森繁は、浮気ができなくなり、「オーマイガー」というオチ。
くだらないことこの上ないです。
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「直虎」を「ストレート・タイガー」と呼ぶというのは、まさに「社長漫遊記イズム」でしょう。
ひょっとしたら堀直虎は、森繁社長のように浮気をしたために自刃したのかもしれませんね(妄想)。
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(おまけ)
だいぶ前のことです。
社長シリーズのファンは私だけなのだろうかと不安になっていたときに、ラジオで竹中直人が社長シリーズのファンであることを告白していました。
竹中は、演技をする際、
台本を読まずセリフを覚えないようにしているそうで、それはその場の瞬発力を大切にしたいからなんだとか。
いわく「社長シリーズの森繁さんは大半アドリブだったから周りは瞬発力で対応するしかなかったそうで、憧れます」とのこと。
三木のり平が、いつもビックリした顔をしているのはそのせいだという説をとなえていました。
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