和菓子屋のYまもとさんのところへ仕事で訪問したときのこと。
帰り際、SFファンのYまもとさんから「日本沈没」(2006年版)のDVDをもらったのです。
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「日本沈没」は、海底のプレートが沈み込み、日本が沈没してしまうというパニック映画です。
特撮の迫力はなかなかでした。
総理大臣役の石坂浩二に対して、私はおそらく彼がこの映画のキーパーソンになるのだろうと想像していたのですが、
映画が始まって数十分後、
石坂浩二は政府専用機で飛行中、火山の爆発に遭遇して「どかーん!」。・・・爆死。
「おぅ!」と、思わず拍手してしまいました。
で、
ネタバレしますが、結末は、
主演の草彅剛が命がけで沈んでいく海底プレートを、とてつもなく破壊力のある爆弾でぶっ壊します。
プレートが破壊されたことで日本の沈没は止まり、良かったね、というところで映画は終わりました。
ただ、すぐさまプレートをぶっ壊した反作用が災害として地球規模で起こるだろうし、もちろん国連の許可なく強行した爆破なので国際問題にもなるだろうし、海洋生物は壊滅しただろうし、暗澹たる気持ちになりました。
(暗澹たる気持ちのもうひとつの原因は、草彅剛と柴咲コウによる恋愛シーンのバカらしさにもありましたが)
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少し前の話です。
テレビをつけたら、懐かしの歌謡曲を紹介する歌番組が放送されていました。
その番組を見ていると、「このあと『奇跡の共演!』」だとか「CMのあと『奇跡のデュエット』」というふうに視聴者を煽り続けるのです。
さて、
『奇跡』というからには、誰と誰の共演だと思いますか?
答えは・・・・・・、
どーん!
祐ちゃんとルリ子でした。
祐ちゃんはCGで再現、ルリ子は今現在の姿です。
眼福です(違いますか?)。
ルリ子の歌声には哀愁があり、たまらないですね。
ちなみに、これが当時のルリ子です。
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それはそうと気になったことがあります。
この番組の司会は、高橋英樹でした。
高橋英樹に招かれて、ルリ子が登場したのですが、
すぐさま、ルリ子は「ヒデキー!」と叫び、当たり前のように高橋英樹と腕を組むのです。
高橋英樹は困惑気味に司会を続けるのですが、その様子が実に良かったです。
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実は、
「日本沈没」の中にも『奇跡の共演』があったということに気がついていましたか?
この『奇跡の共演』のおかげで、「日本沈没」に対する不満が帳消しになったのですよ。
そうです!
この映画の中に、
文学座の重鎮がそろい踏みしていたのですよ。
映画の中で、
日本が沈没しつつあるまさにそのとき、政府要人たちによる対策会議がありました。
その政府要人として、文学座の2大重鎮、つまり、両雄が並び立ったのです。
北村和夫
加藤武
(たいした『奇跡』じゃないと言われればそれまでですが・・・)
北村和夫と加藤武は文学座を支えた両輪であり、学生のころからの盟友でした。
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ちなみに、
加藤武は、「東京やなぎ句会」の同人でした。
(他のメンバーは、 入船亭扇橋、 柳家小三治、 江國滋、 大西信行、 三田純市、桂米朝、 永井啓夫、矢野誠一、永六輔、神吉拓郎、小沢昭一)
北村和夫はトンチンカンなところのある人物だったそうで、
東京やなぎ句会による名著、「友あり駄句あり三十年」という本の中に、句会の実況中継が掲載されているのですが、
その句会の中で北村和夫はいかにトンチンカンなのかということを皆でゲラゲラ話しています。
(普通の句会は、緊張感の中、静かに考えに耽っているものと思われますが・・・)
「北村和夫伝説」はいろいろあって、
例えば、
シャンソン喫茶で「詩人の魂」という曲がかかっているにもかかわらず、北村が「この曲が終わったら『詩人の魂』をかけてよ」と言った話。
杉村春子に「おしろい洗って」と言われ、お尻を洗った話。
越路吹雪へ「越路吹雲(こしじふきぐも)」と彫ったハンコをプレゼントした話。
ただ、北村和夫いわく、「北村伝説」は「加藤武と小沢昭一の創作」とのことですが。
(映画の中では、北村和夫は善玉の閣僚、加藤武は悪玉の閣僚を演じていました)
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話は戻りますが、祐ちゃんとルリ子が『奇跡の共演』を果たした歌謡番組の中に、もうひとつの眼福がありました。
関西ラジオ界の生き仏、浜村淳が登場したことです。
八十路ですが、いまだに毎朝ラジオの生放送をしているのですよ。
ありがたや。
コメント
コメント一覧 (2)
確かTBSが協力してたから報道場面にリアリティがあってよかったのが一番。次は噴飯ものだが、豊川悦司と大地真央が元夫婦という設定、ちきゅうという船の中の研究室の雰囲気というか描写が気にいっている。最後は草薙の母の役の長山藍子が出色。
今度の句会でも「同じ道」を歩いてもできた句は全然違う、その差異を楽しみたい。
私は珍作ファンなんですが、日本沈没には珍作という自覚に欠けているのが難点かもしれないと感じました。