いまさらですが、

「舟を編む」(松竹)というとても良い映画(DVD)を見ました。


主演の松田龍平が、拾った猫に「寅次郎」と名付けるあたりが松竹ファンにはたまらないシーンですね。


出版社の、辞書の編纂をする部署の話。

辞書編纂という地味な仕事をする松田龍平や小林薫、加藤剛など一見物静かにみえる登場人物たちの、熱い気持ち。

この「静かな人たち」の「熱さ」がいいんですねー。

ギャップがある人に、魅力を感じるんですよね。


ギャップこそ魅力だとつくづく思いました。 

例えば、

豪快に見えて繊細だったり、チャラチャラしているのに古風だったり、クールに見えて情熱的だったり。


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話は変わりますが・・・・・・、


人生相談が好きで、新聞や雑誌に人生相談が載っていると、思わず読んでしまいます。 


回答も様々で、突き放してみたり、同情してみたり、実用的なアドバイスをしてみたり、回答者それぞれに芸風がありますね。


いろんな人生相談を見聞きしていますが、やっぱり回答の名人は「ラジオ テレフォン人生相談」のパーソナリティ、加藤諦三先生だと思います。


「テレフォン人生相談」は、平日の11時からニッポン放送で放送されています。


(ラジオ欄)


例えば、

母子家庭で息子を育てた母親からの悩み相談。

「まじめな息子が受験に失敗。そのことが原因なのか、息子は風呂場で妹を盗撮未遂。それが露見して以来、家に引き籠もってしまいました。私(母)は熱心に教育してきただけにショックで堪らない」という悩み。

加藤先生はこの相談に対して、電話で対話をしながら原因を深く突き止めていきます。

1、母親から言われるがままの「良い子」の息子

2、「熱心な教育」は息子のためでなく母親自身のためのものだったのではないか

3、母親自身の若いころの挫折

4、母親は自らの育った環境にトラウマを抱えていた

というように盗撮騒動の起きた原因を突き止めていきます。

そして、

母親が「なんてことだ・・・」と涙を浮かべ頭を抱えたところに、加藤先生の具体的なアドバイス。

盗撮という行為は、「意識で治せるようなものではなく、無意識が要請しているもので」快復は容易ではないとした上で、

「引き籠もっている息子さんの気持ちを聞いてあげて下さい。また、あなたのトラウマを息子さんに話して下さい。対立するかもしれませんが、対立を怖れずに会話をして下さい。息子さん自身が、自分のやりたいことに気がつく、ということが大切です

で、締めのお言葉。

「対立から意思が生まれます」

名人芸です。


新聞や雑誌の人生相談ではできない、相談者と回答者の会話の中で、「答え」にたどり着こうとすること。

「表層的な悩み」から、そのカラクリと本質を会話をとおして解き明かしてゆくあたりは、サスペンスのような面白さがありますね。


まさに、「人は大きな悩みを隠すために小さな悩みを作り出します」(by加藤諦三)。 


そうなんだよなあ。


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それはそうと、

私は加藤先生の名人芸について書きたかったわけではないのです!


「テレフォン人生相談」には、加藤諦三先生とは別にもう一人、レギュラーの日替わりアドバイザーがいます。

番組冒頭で加藤先生が、「先生をご紹介します」と、アドバイザーを相談者に紹介するのです。

で、この日、紹介されたのは、

「マドモアゼル・愛」先生。


それにしても「マドモアゼル・愛」ってすごい名前ですね。


ラジオからマドモアゼル・愛先生の声を聞く限り、落ち着いた若い紳士という印象を受けました。

エキセントリックな名前のわりには、理性的で冷静な回答をする先生です。


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加藤諦三先生は、早稲田大学名誉教授という安心感のある肩書きがありますが、マドモアゼル・愛先生は謎めいた存在でした。

そこで、気になった私は、

パソコンで「マドモアゼル・愛」と検索してみたのです。


すると・・・、


ドーン!!

肩書きは、「占い師」。


嘘だろ??


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ギャップこそ魅力と、先ほど申しましたが、

「マドモアゼル・愛」先生に対し、

子供のころ受けた「小野妹子」は男だと知ったとき以来の衝撃!

あまりの驚きに、

胃の中のものが逆流して、口から噴射するところでした。


魅力を感じるギャップには、許容できる限度というものがあるということも感じました。