厄除け日記 (by Kばやし)

厄除けのように、好きなことを集めて書きます。 30代。 俳号は軽囃子(けいばやし)

長野市在住

「私、実は萬屋錦之介(中村錦之助)のファンなんですよ」
と、ある日、古書店で言いました。

すると、
古書店のダンナいわく「えっ? 錦之助のどこがいいの? 高倉健と比べたらずーっと落ちるのに」
むむう。

ダンナが続けて言うには「『宮本武蔵』(※東映)見た? 錦之助の武蔵より高倉健の小次郎の方が、ずーっといいから」
むむう。
言ってくれるじゃないの。「宮本武蔵」見てやろうじゃないの。

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「宮本武蔵」(東映・監督 内田吐夢)を見ました。

とどーん!錦ちゃん。
観客に対して、わしの演技でも食らえ!という目。(主観)
大時代的でスケールが大きくて、場違いなくらいな演技(怪演)が堪りません。

一方、健さん。
若手の頃から、あのしゃがれ声。

健さんは、佐々木小次郎なのに、
なんか、耐え忍んじゃっているんだよなー。
なんか、前科がありそうなんだよなー。

錦ちゃんと健さんの演技の差!

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心の中で、私は古書店のダンナに向かってこう言い放ったのです。
「小次郎(ダンナ)、敗れたりぃ!汝の負けと見えたぞ!」

錦ちゃんの一太刀!  いや、私の一太刀!

前のめりに倒れる小次郎(ダンナ)。

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小次郎に勝利したものの、心の晴れない武蔵。
この空虚!しょせん剣は武器か・・・」

《終》

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気分の晴れないまま鬱々と映画は終わります。

というのも、
映画の中で、若いころ宮本武蔵は、罪のない子供とお爺さんを剣で串刺しにして殺しているから。
(あくまで内田吐夢版)

そのことを武蔵は「私の手は血で汚れている」と終始悔いていて、
一度は剣は「生きる道」である、と思い込むんですが、小次郎を倒すと、 武蔵はやはり剣は「ただの武器」でしかなかったと言うんですよ。

なんで監督の内田吐夢はこういう設定にしたのか。私なり推理しました。
けれど、これについてはまた後日。

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このころの東映は、市川右太衛門と片岡千恵蔵の両御大の時代が終わり、錦之助の時代が始まるころでした。

(脇役でも、御大の貫禄!)

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珍しく、サザエさんを見ていました。

すると波平とカツオが、土手にヨモギを摘みに行くんですよ。
カツオ「草餅を食べるの楽しみだなー!」

突然、営業めいてますかね。
私の会社では、国産のヨモギを6月の頭、東北地方を中心に集めてもらっているんです。
新しい芽を、柔らかい部分だけ(上から握りこぶしくらいまで)摘んでもらっています。

サザエ「母さん、草餅でも作ろうか」

ヨモギは摘んだその日のうちに加工しなきゃいけないんです。
春の生命力の香りがしますよ。

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男はつらいよ、も初期は、おばちゃん(三崎千恵子)が江戸川の土手でヨモギを摘んでますよね。
柴又の草餅、美味しいですもんね。

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今日BSで「虹をつかむ男」が放送されていました。
(男はつらいよ、を見る西田敏行と吉岡秀隆)

渥美清が亡くなったため、追悼で作った(キャストの問題で慌てて作った)映画です。
(私、実は松竹の大ファンです)

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国産のヨモギは、乾燥(微粉末・粉末・握り)、それから冷凍を揃えています。
海外産もありますよ。
どうぞ、ご贔屓下さい。

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TBSラジオを聴いていたら、菅原文太と愛川欽也の歌う「一番星ブルース」が、流れてきました。
東映「トラック野郎」シリーズの主題歌。私、大好きなんです、この曲。


ラジオでは、愛川欽也が亡くなったことについての話でした。

寂しい気持ちで聞く「一番星ブルース」は、これで最後だろうなあ。

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「トラック野郎風雲録」(鈴木則文)を読み返しました。



愛川欽也が、「トラック野郎」シリーズの始まるきっかけを作りました。

当時TBSラジオの人気パーソナリティーだったキンキン。
《深夜放送を聞く/夜の長距離トラックの運転手が(DJのキンキンを)励ましてくれたそうだ。/「これだ!この連中だ!」と感激したキンキンの情熱が菅原文太氏につながり》 、東映に「トラック野郎」の企画書を共同で提出します。
で、東映の岡田茂社長は、
《菅原文太なら何でもいい、なんか作れや》だって。

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岡田茂の許可が出て、さて次はテーマ曲を作らねば 悩む鈴木則文監督。
そこへ文太が、デビュー直後のダウン・タウン・ブギウギ・バンドのレコードを渡します。で、
新進気鋭だった宇崎竜童夫妻がテーマ曲作成に抜擢されることになりました

主題歌「一番星ブルース」の作詞は阿木燿子、作曲は宇崎竜童。
(歌はもちろん、文太とキンキン)

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公開日が迫ります。
監督の鈴木則文は、脚本を14日で書き、撮影日数20日でトラック野郎という即席映画を作ったそうです。
(なんと!!)
そして、大ヒット。

みんなの熱とノリで、映画ができる時代だったんですね。

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一作目の大ヒットを受けて、東映の岡田茂社長は早速、「正月はこのトラックでいけ!」と、松竹の「男はつらいよ」にぶつけさせます。
「トラ(寅)喰う野郎やで」と上機嫌。
「題名は爆走一番星や!」と岡田茂社長は、第二作目に向けてノリノリだったとか。

さすが東映。

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鈴木則文は、言います。
《まこと映画などというものは、夏の夜空を一瞬華やかに彩って消えていく花火のようなもの》

《記憶のなかだけにあって、もう再び出会うことのできない幻影であるからこそ、映画はある意味で儚くも美しい》 

娯楽映画の良さって、消え去るものかもしれませんが、その代わり時代の空気が切り取られてもいるんですよね。

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愛川欽也が亡くなる数日前に出くわしたトラックです。
愛敬があります。文太やキンキンのようなおっちょこちょいなトラック野郎なのかなー、なんて。
わっ、左下には「桃」のマーク。
菅原文太の役名は、一番星桃次郎でしたもんね。嬉しいな。

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「一番星ブルース」の歌詞の最後。

《♪あああ、ああああ、一番星消えるたび、俺の心が寒くなる
    あああ、ああああ、一番星消えるたび、俺の心が寒くなる♪》

で、電飾トラックの走り去る音で、この曲は終わるんですよ。
デタラメでおかしな当時の東映的なものも、電飾トラックのように、きっと走り去っちゃったんだろうなあ。
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